玄光社フォトテクニックデジタルの私的写真集選手権に応募していたのですが、残念ながら入賞は叶わずでした。悔しい気持ちもありますが、写真集という形で作品を作り込んだのは初めてのことで、学びもたくさんありました。
応募した写真集のタイトルは、朝と夜とコンクリート。この作品で表現したかったこと、伝えたかったことを少しばかり書き出してみました。
生きていくことのリアル
この写真集で表現したかったことは、東京という街で生きていくことのリアルな現実。
私自身が就職で上京したときに経験したこと、写真を撮ることにハマって気づけたことを作品として形に落としてみたくて。
はじめての就職先は簡単にいうとブラック企業で、意欲だけはあったけどリーマンショックも重なってどん底まで転げ落ちていく日々。
地元を離れて東京に出てきて、仕事に追われる日々。学生時代のように毎日友達と遊ぶことはできなくて、ひとりで過ごす時間も増えて。
人に自慢できるようなことなんて何もないし、これといった趣味や目標もない。
毎日必死に頑張って働いても、毎月の給与が増えるわけでもなく(むしろ減っていった)。最低限の生活はできるけど、贅沢なんてできない。
華やかなイメージを持って東京に出てきたのに、会社と家を往復するばかりの味気ない毎日。
特別なことがなくても、何もない毎日に思えても、ひとりで寂しく生活してても。実はそこに輝くものってたくさんあったんですよね。
写真を撮り始めたこともそうですし、結婚して、子どもができたことも自分に大きな影響を与えている気がします。
普通の人が普通に生きる日常こそ、とても価値あることだと、今はそんな風に思えます。
スマホゲームで遊んでたって、安い中華料理屋でチャーハン食べてたって、食べようと思って焼いたはずのホットケーキがいつまでもフライパンの上にあったって。
自分には何もないとか、生きててもつまらないとか、そんなことないんだぞー!ってことも写真集という形で表現できたら良いなと思ってました。
写真集を作ってから半年くらい経った今、改めて見返してみると反省点もたくさん見えてきます。
踏み込みが浅かったというか、遠慮が垣間見えるというか、もっと深く考えるべきだったというか。
今回の写真集作成にあたり、全面的に協力いただいたモデルのしみずさんには、自分の力不足で結果を出せず申し訳ない気持ちでいっぱいです。
今度お会いしたときには菓子折り持参でジャンピング土下座です。
ちなみに、私の体験を元に作品を作っていっただけで、しみずさんの私生活がつまらないとかそういうことはありません、多分。
ものすごくリア充な毎日を過ごされているのかもしれません。
この作品を撮り始めるまで、これが撮りたい!と思えるテーマになかなか出会えなくて。
撮りたいと思えたテーマに全力でぶつかって、結果は出せなかったけれど、自分の中では少し前に進めた気がしています。
最近は室内でライティングを組んだり、ポージングもきっちりキメて撮影することが多くなりました。
だけどこの作品においては、多少の演出は加えたものの、ほぼ素の状態での撮影でした。生きてる感、をうまく出せたでしょうか。
東京で生きていくことをテーマにした写真は、これからも継続的に撮影していけたらと考えています。田舎モンの自分にとって、東京ってどうしても特別な街に思えてしまうのです。
もっと色んな作品に触れて、表現方法や写真集の構成をしっかり考えないといけません。
今、自分の中に浮かんでいるイメージとしては、広角気味のレンズで周りの景色を広く取り入れつつ日常を表現していくこと。
35mm f/1.8はいいレンズだけど、描写がどうにも安っぽく感じてしまう。先日発売されたニコンの28mm f/1.4がドンピシャでとても気になっています。物欲ムラムラ。
私的写真集選手権が来年も開催されるのかどうかは不明ですが、機会があればまた挑戦してみます。次回こそ入賞を目指します。
表現したいことを言葉に落とし込むことは難しいですね。しみずさん、ありがとうございました。