ポートレートを上手に撮るためのコツなんて、きっとないのです。
約2年、ポートレートを撮影に全力で挑戦してきました。漠然とした憧れからなんとなく撮影会に参加してみたのが2014年の春。生活環境の変化などで、しばらく撮影から離れていましたが、2015年の春ごろから撮影の機会をいただけることが増えまして。
始めの頃は撮ることが純粋に楽しくて、あまり深く考えずシャッターを切りまくっていた気がします。ポートレート撮影への知識と理解を深めていくにつれて、技術とセンスの不足から悩みが増え続けていくばかり。
コンテストで目立った結果も出せていないし、理想とする写真にはまだまだ辿りつけそうにない私ですが、ポートレート撮影と真剣に向き合ってきて学べたこともあります。たくさん考えて、たくさん撮ること。単純だけど、上達するためには、結局はそれが一番大事みたい。
ポートレート撮影上達のために考えるべきこと
たくさん考えるといっても、何をどのように考えればいいのか。ポートレートを撮り始めて2年程度の私ではありますが、上達するために必要と思われることを書き出してみました。
ポートレート撮影のアイデア探し
どんなポートレートを撮りたいのか、ここをまず考えていかないと前に進めない。明確なゴールを持たず、ぶらぶら散歩しながら気ままに花や街並みを撮っていくスナップ撮影も楽しくて好きですけど。
ポートレート撮影では予めゴールを定めておかないと、モデルさんとのやりとり、イメージのすり合わせがうまくいかない気がします。
インプットを増やす
アイデアを生み出すにはインプットの量を増やすことが大事。「アイデアのつくり方」という有名な本にそう書かれていました。
雑誌などを見ていて、ビビッときたポートレートを見かけたら、Evernoteにスクラップしておいたり。自分が撮りたいイメージを文章に落とし込んで明確にしたり、どうやったら同じように撮れるのかを考えたりしています。
だけどなかなか新しいアイデアを生み出すのって難しい。
いろいろな写真を拝見していると、なんでそんなの思いつくの?と嫉妬することばかり。斬新なアイデアを生み出すには並大抵の努力ではダメみたいです。センスを持たない凡人は頑張るしかないですね。
モデルさん探し
撮りたいイメージがある程度見えてきたらモデルさんを探す。撮影会の開催情報をチェックしたり、フリーでモデル活動をされている方を探してみたり。友人や知人にお願いしてみるのもアリじゃないでしょうか。
イメージにぴったりのモデルさんを見つけても、日程が合わなかったり、当日に体調をくずされてしまわれたり。同じモデルさんを継続的に撮り続けていきたいという気持ちもありますが、モデルさんのご都合もありますし。人を撮る以上、仕方のないことはありますね。
ネット上でモデルを募集してみる
私の場合、ブログ上でポートレートモデルを募集してみたら、幸いなことにちょこちょこ連絡をいただけるようになりまして。
途中で音信不通になってしまう方もいましたが、貴重な撮影機会をいただけて本当にありがたい限りです。
TwitterやInstagramでもモデルを募集されている人が結構いますね。
撮りたいイメージが明確に固まっている場合は、自分からモデルさんにアプローチすべきと思いますが、撮影の経験を増やすという点では、モデルを募集してみる価値はあると思います。
ロケーション探し
撮影のイメージにあったロケーションを探すこともポートレートを撮影するうえで必要なスキルだと感じています。ビビッとくるポートレートって、モデルさんの表現力や撮影技術もさることながらロケーションが素敵な写真が多い。
ロケーションの引き出しを増やすことも当面の課題の一つ。
仕事で外出したときとか、ちょっと出かけたときとか、ネットサーフィンしてたり、雑誌を読んでいたり。ロケーション探しのアンテナを常に張っておくことが大事なのでしょうね。
屋内スタジオのまとめサイトはちらほら見かけますが、屋外の撮影ロケーションをまとめたサイトって見たことがない。撮影許可の連絡先とかもまとまっていると完璧なんだけど、どなたかそんなサイトを作ってくれないかしら。
車で移動できると撮影の幅も広がりそう
首都圏なら公共の交通機関でだいたいの場所にアクセスできますが、機材を背負って移動することを考えると、やっぱり車が欲しい。
火曜サスペンスのクライマックスシーンで使われるような断崖絶壁や暗い森の中、早朝の海辺とかでも撮影してみたいのです。
お金の問題はありますが少しずつスタジオの経験も積んでいきたい。撮影友達がいれば、あそこのロケーションよかったぜーみたいな共有ができて楽しそう。友達…
ロケハン(撮影場所の下見)
撮影経験が増えていくにつれロケハンの重要性を痛切に実感。
Googleストリートビューでもおおよその街並みは把握できますが、時間の変化で光がどう変わるか、暑い寒い、風が強い、お手洗いや休憩できる場所が近くにあるかないかなど、自分の足で歩いて確認しておかないと撮影を始めてからアタフタしてしまう。
屋外撮影の場合、まったく同じ時間帯に撮影場所を下見しておけるとベストですが、週末しか身動きが取れないアマチュアカメラマンにはなかなかの難題。
人通りの多い場所で撮影する場合だと時間帯によって人の多さが変わったりしますし。工事中だったり、休日だとイベントが開催されていたりすることも。
最低でも待ち合わせの少し前に現地入りして撮影場所を下見しておくことが必要だと思っています。
モデルさんとのコミュニケーション
事前にモデルさんと撮影のイメージを共有しておくことって大事だと思っています。初めてお会いする方には特に、服装や髪形、メイクなど、こちらのイメージを予めお伝えするようにしています。
衣装やヘアメイクをすべてこちらで手配できればベストでしょうけど、アマチュアカメラマンにとってなかなかに大きい壁です。
いざ撮影がスタートすると、基本的に1対1での撮影ですのでモデルさんとのコミュニケーションが必然的に発生します。
「自然な感じで笑ってー」と伝えて、さっと素敵な笑顔を作れるのはモデル経験が豊富な方だけ。撮られる側に立つとわかるけど、そんな自然に笑えるかい。
私は顔や体の向き、手の位置、目線など、こうしてほしいと細かく指示を出すことが多いのですが、もっと動きを意識して撮ってみるのも必要かなと思っていたり。
イメージしやすいシチュエーションを
表情を作ってほしいときは「待ち合わせ場所に友達が来なくて、まだかなーと思ってる感じの表情で」などとシチュエーションを細かく伝えることもあるんですが、「こいつ何言ってんだ」とモデルさんに思われている可能性はこってり濃厚。
ポートレート撮影が上手な方はきっとモデルさんとのコミュニケーション、表情を引き出すのが上手。
私のようなコミュ障にとって最大の壁だけど、写真にものすごく大きな影響を与えるので、いろいろ工夫して取り組んでいかなくては。
光の読み方
季節や時間帯、当日の天候によって光の強さ、色合い、まわり方が大きく変わりますね。ポートレートを撮りはじめて、日々の光の変化を強く意識するようになりました。
太陽がさっぱり見えない曇り空であっても、雲の向こうから太陽の光は届いているので、光の方向性を見極めないと撮りたいイメージに近づけられない。
この一年で少しずつ光を読めるようになってきた気がします。最近は朝の通勤時間帯の斜光がとても魅力的で、よく晴れた日の朝7時くらいに新宿東口あたりで撮影してみたいなぁと思っていたり。
光の作り方
屋外で撮影していると当日の天候に大きく左右されます。雨や風を止めたり、気温を上げたり下げたりはできないけれど、光を作り出すことはできるはず。
クリップオンストロボを1台持っているけれど、まだまだ活用しきれていない。
来年はライティングをしっかり学んでいきたいと思ってまして。欲しい光がないときは光を作り出せるようになりたいのです。機材のそろっているスタジオで撮影の練習をしてみるのも必要かしら。
プロのカメラマンでストロボやレフ板は極力使わず、自然光でポートレートを撮ることを大切にされている方もいたり。
自然光で撮るか、機材を駆使して光を作り出すか、どちらがよいかを判断できるほどの経験はないので、まずは両方に挑戦してみて、そこから自分にあった撮り方を見つけていきたいと思ってます。
構図
今年ぶちあたった壁の一つが、構図のワンパターン化でした。三分割法のバストアップばかりで、似たような構図の写真ばかり撮っていました。
これはいかんということで、日の丸構図や三角構図、定番の構図を無視した写真を撮ってみるように意識しています。
意識はしていても、慣れてしまった構図から脱却するのは結構難しくて、やっぱり似たような写真を撮ってしまうこともあって。
一度しみついたクセを矯正することの難しさを痛感している日々です。もっと自由に、柔軟に撮れるようになりたい。
パースペクティブと被写界深度
どのレンズでポートレートを撮るか。58mmを買ってからはこればかり使っている私ですが、35mmで撮ったときのパースペクティブもすごく好きなのです。超広角での撮影はダイナミックさを演出で来て面白いけど、ゆがみの扱いがすごく難しい。
背景をぼかして撮ることが多いけど、背景のディティールをしっかり残して撮るのも面白いですね。撮りたいイメージに合わせて絞りを調整する、それを学んだのは夏を過ぎたくらいだったかしら。
よく言われますがズームレンズのf/2.8と明るい単焦点レンズのf/2.8は同じ数値でも吐き出す画は全然別物。
散財を繰り返してきた結果、レンズ資産がそこそこ豊富になってきたので、背景をどう残すか、どのような表現を求めるかによってレンズを選択していこうと思います。
露出
ヒストグラムを理解するようになったのも夏が終わってからでした。白とびなんて現像時にLightroomで調整すればいいじゃん、と思っていた過去の私を呪いたい。白とびさせてしまったらそこには何も残らない。
Lightroomでハイライトを落としても、べったりと階調を失った灰色になるだけ。
マニュアルモードでの露出設定は完全につかめたので、白とびしないようにヒストグラムを見ながらちょっと暗めに撮ることをこれからも徹底していきます。白とびは最少・最低限に。
現像とレタッチ
今まではLightroomだけで作業をしていましたが、レタッチを勉強してからはフォトショップも使うようになりました。
Lightroomでは明るさの調整や白とびのケア、水平垂直の修正、ホワイトバランスや周辺減光を調整したり。フォトショップでは肌のトーンを整えたり、立体感を演出できるようにしたり。ほかにも瞳をくっきり見せたり、唇の発色をよくしたり。
レタッチについては本を一冊買って勉強してみたのですが、これがとても勉強になりました。LINEスタンプを作るために購入したけれど、すぐに飽きてどこかにしまい込んだペンタブを探し出す時は今ぞ。
レタッチでどこまで手を入れるか悩む
現像とレタッチは楽しいけれど、後工程で作りこみすぎるのはよくないかなぁとも思っています。撮影時にしっかりと作りこんで、PCでの作業はあくまで仕上げのイメージで進められるとベストかしら。いずれにしても仕上げの工程は現在進行形で悩みの深いパートです。
プリント
プリンターを買いたいけれど自宅に置く場所がないため、今はネットプリントを活用しています。フォトコンテストに出すことをメインに考えていますが、プリントするのはいいですね。
ディスプレイで見られる写真と、実物として手元にある写真は、同じ写真でもちょっと違う。
たいしたモニターを使っていないのが原因ですが、ディスプレイで見えている色と出力される色に微妙な違いがあるのが今後の大きな課題。ネットプリントは便利だけど、出力される色合いのクセをつかんでいかないと、イメージ通りの色を出せない。
毎月数枚ずつはプリントを続けていこうと考えています。
ポートレート撮影からの学びを次につなげる
ポートレート撮影を通じて学んだことを思うがままに書き出していたら結構な文字数になってしまいました。
今後は月1~2回くらいのペースでじっくり作品撮りを続けていけたらいいなと思っています。自分の世界観を少しずつ形にできるようになっていきたいものです。
来年の今頃には自分の作品をまとめたブックを仕上げられるようになっていたいなと思っています。フォトコンテストでも何らかの賞にくいこんでいけるよう、積極的に挑戦です。
撮影の機会をいただけたモデルの皆さん、本当にありがとうございました。
- 単焦点レンズ58mm f/1.4Gでポートレートを撮影することの魅力と魔力
- 85mm単焦点レンズがポートレートに最適と言われる理由
- 35mmの単焦点レンズでポートレートを撮影する楽しさ
- ライトスタンドとソフトボックスを購入!新ライティング機材に心踊る
初めまして。
検索サイト経由でブログを拝見しました。
とても素敵な写真を撮られますね。
感動&感心してしまい、思わずコメントさせていただいちゃいました。
写真は機材だけではなく、情熱と腕とセンスだなと思い知らされました。
これからも読ませていただきます。
良い刺激になりました、本当にありがとうございました。
さかもとさん
コメントありがとうございました。
まだまだ素人の域から脱出できませんが、コツコツと頑張っていこうと思います。
また見に来ていただけたら幸いです!