レビュー

コシナ Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalレビュー

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Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

ソニーのα7 IIIで使うための単焦点レンズが欲しくて、コシナのVoigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalを買いました。

2019年4月発売のレンズですが、AF(オートフォーカス)は非搭載。

写真を撮る楽しみをじっくり味わえるレンズです。

先に結論をお伝えしておくと、むっちゃくちゃ良いレンズです。

どんなレンズなのか詳しくご紹介します。

Eマウントの50mm単焦点レンズ

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

まずは基本的な情報からまとめていきます。

コシナのVoigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalは、ソニーのα7シリーズをはじめとした、Eマウントで使える単焦点レンズ。

主なスペックは以下の通り。

焦点距離50mm
レンズ構成6群8枚
絞り羽根枚数12 枚
最短撮影距離45cm
最大撮影倍率1:7.0
フィルターサイズ58mm
重量434g

「AF非搭載の単焦点レンズで13万円もするなんて高すぎる」

と思う方も多そうですね。

たしかに安くはありませんけど、これだけ小さいボディに434gという軽さ、そしてf/1.2という明るさを実現しているってすごいと思いませんか?

発売後も納期未定で一度キャンセル

今回、発売日の数日前に楽天市場でポチったのですが、発売日を過ぎても届く気配がまったくなく・・・

システム上の在庫状況も「納期未定」のまま。

メールで問い合わせてみたら、「いつ納品できるかわからない、ごめん」と回答がきたので注文をキャンセル。

改めて楽天のマップカメラで注文したところ、翌日には手元に届きました。

購入価格は130,500円。

結果的にマップのほうが少し安く買えたので、結果オーライです。

キ〇ムラにはニコンの機材一式を買い取ってもらったので、なるべく利用しようと思ってたんですが、在庫がないなら仕方ありません。

購入候補だった50mm前後のレンズ

実のところ、NOKTON 50mm F1.2の購入に至るまで、散々悩みつくしました。

ニコンからソニーに乗り換えたばかりということもあって、Eマウントレンズの知識があまりないんです。

購入候補として挙がったのはソニー純正の単焦点レンズと、シグマのアート50mm。

名称Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZAPlanar T* FE 50mm F1.4 ZASIGMA 50mm F1.4 DG HSM
焦点距離55mm50mm50mm
レンズ構成5群7枚9群12枚8群13枚
絞り羽根枚数9枚11枚9枚
最短撮影距離50cm45cm40cm
フィルターサイズ49mm72mm77mm
重量281g778g910g
最安価格77,000円148,407円92,880円

価格最優先なら55mmですし、プラナー50mmも魅力的ですよね。

カリカリにシャープな描写を求めるならシグマもありかと思えましたが、50mmの単焦点レンズで約1kgってさすがに重すぎません?

業務用途として考えるならAFは必須ですけど、今回は趣味用レンズと割り切りました。

それにせっかくソニーに乗り換えるという冒険をしたんだから、今まで未体験のマニュアルフォーカスレンズにも挑戦してみようかなと。

合わなければ売ってしまえばいいだけですし。

記載している最安価格は記事執筆時点のものです。レンズの価格は変動するものなので、最新の価格は都度お調べください。

NOKTONシリーズのラインナップ

コシナのVoigtlander NOKTONシリーズは、50mm以外に35mmや40mmの単焦点レンズもあります。

名称COLOR-SKOPAR 21mm F3.5NOKTON classic 35mm F1.4NOKTON 40mm F1.2
焦点距離21mm35mm40mm
レンズ構成8群9枚6群8枚6群8枚
絞り羽根枚数10枚10枚10枚
最短撮影距離20cm30cm35cm
フィルターサイズ52mm58mm58mm
重量230g262g420g
最安価格69,680円64,500円111,000円

いずれもマニュアルフォーカスのみという個性の強いレンズたち。

35mmは非常にコンパクトで、最短撮影距離も約30cmと寄れるのでスナップに最適ですね。

40mmの単焦点レンズは今まで使ったことがないので気になりましたが、ポートレートでの使いやすさを優先して50mmを選びました。

35mmもいつか買いたい。

NOKTON 50mm F1.2の外観

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

ここからはVoigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalの外観をじっくりご覧いただきます。

質感が伝わりづらいですが、金属製のボディで安っぽさは微塵も感じません。

冬場は猛烈にひんやりしそう。

手のひらサイズのレンズ

手のひらサイズでコンパクトですが、ずっしりとした重みがあります。

ガラスがみっちり詰まってるんだろうな、と実感できます。

レンズキャップ

レンズキャップにはVoigtlanderの文字が書かれています。

レンズフード

金属製のレンズフード

レンズフードも金属製で、くるくる回して装着するねじ込み式。

このタイプのレンズフードははじめてです。

逆さ付けはできない

レンズキャップをつけた状態だと、レンズフードをつけられません。

反対向きにつけることもできないので、基本的につけっぱなしがよさそう。

前玉・後玉

前玉

前玉はご覧の通り。

緑っぽいのコーティングが施されています。

後ろ玉

後玉はこんな感じですが、注目していただきたいのは電子接点。

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalはマニュアルフォーカスレンズですが、電子接点があるためカメラにF値を記録できます。

撮影後に写真を整理するときも、ExifからF値を調べられるので非常に便利です。

さらにα7 IIIのボディ内手振れ補正にも対応。

このあたりはさすが最新のレンズですね。

絞りリング

絞り環

絞りリングはコリコリと軽いクリック感があります。

最大絞りはf/22。

クリック音を発生させずに絞りリングを動かせる機能があるそうですが、説明書を読んでおらずやり方がわかりません。

動画撮影時に絞りを変えたいときは重宝するのでしょう。

フォーカスリング

フォーカスリング

フォーカスリングはヌメっとした、程よいトルク感が味わえます。

こればかりは実際に触っていただくのが一番ですが、すごく気持ちいい感触。

今までいろいろなレンズに触れてきましたけど、フォーカスリングの気持ち良さランキングで断トツの1位です。

α7 IIIと相性抜群

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

記事の冒頭にも載せましたが、α7 IIIに装着してみるとこんな感じ。

コンパクトなα7 IIIとマッチして、すごくバランスが良いと思いませんか?

正面から撮影した状態

真正面から見ると、あまり面白みがないですね。

アップで撮影した状態

レンズのデザイン、金属の質感、コンパクトなボディ、もう最高ですよこれ。

NOKTON 50mm F1.2の実写テスト

ここからはVoigtlander NOKTON 50mm F1.2 Asphericalでどんな写真を撮れるのか、実写テストの結果を掲載します。

いずれもjpg撮って出しで、Photoshopで640pxにリサイズしています。

絞り開放はフワッフワ

まずは絞りを変えることで写真がどう変化するのか試してみました。

まずは絞り開放(f/1.2)から。

絞り開放の撮影サンプル

もうフワッフワのフワッフワ。

背景は何が何だかわかりませんし、カフェオレの缶もにじんだような画になっています。

f/1.2まで絞りを開けるのはすごいですけど、使いどころを見極めないと、よくわからない写真になってしまいそう。

f/2.8のサンプル

こちらはf/2.8で撮影したもの。

ここまで絞ればカフェオレの缶もすっきり写りますね。

背景の丸ボケもきれいです。

f/4のサンプル

絞り込んでいくと、徐々に背景の丸ボケが小さくなっていきます。

f/4.0あたりまで絞ると、周辺減光もほぼ気になりません。

f/11のサンプル

f/11まで絞ると、こんな感じになりました。

個人的にはf/2.8前後の描写が好みです。

ピント拡大機能が便利

マニュアルフォーカスのレンズを購入するうえで不安だったのは、きちんとピントを合わせられるのかということ。

本来なら技術でカバーすべきところですが、文明の利器を使わないという手はありません。

α7 IIIのピント拡大機能、すごく便利です。

f/1.2で撮ろうものなら、ピントが合う面はほんの数mm。

f/1.2

f/1.2

f/2.8
f/2.8

でもピントを拡大すれば、マニュアルフォーカス初心者でもバッチリ合わせられます。

いやはや、便利な時代になりましたね。

周辺減光はかなり強い

周辺減光のサンプル

絞り開放で撮ると周辺減光はかなり出ます。

周辺減光もレンズの味だと思っているので気にしませんが、イヤな方はLightroomなどでレンズ補正をかけてください。

ボケは少しざわつく

背景ボケのサンプル

背景ボケは柔らかいですが、ちょっとざわついた感じもします。

当たり前ですけど、かつて愛用していたAF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gとはボケの味付けがかなりちがいますね。

これはこれで嫌いじゃありませんが。

背景ボケのサンプル

写真右側の葉っぱあたり、若干二線ボケが出てますね・・・

50mmにテロテロでトロトロなボケを求めるのは酷でしょうか。

まだ青いカエデ

こちらも写真左上、青い花が咲いている部分は少々ボケがざらついたように感じます。

前ボケのテスト

こちらは前ボケを作ってみました。

f/2.8前後が使いやすい

カエデの縦写真

f/1.2で撮れるのは楽しいものの、ボケの具合と扱いやすさのバランスを考えると、f/2.8あたりが自分には使いやすいです。

f/2.0以下にまで絞りを開くと、ピント合わせがほんとにシビア。

絞り込んで撮影した例

こちらはf/9.0まで絞り込んで撮影した例。

絞りで絵がガラッと変わるのも面白いです。

テーブルフォトは相性悪し

テーブルフォトの例

最短撮影距離が45cmと被写体に寄れないため、テーブルフォトでは使いづらいです。

撮れないことはないですが、席から立ち上がったり、カメラを離さないといけないので不格好。

飲食店で写真を撮る機会が多い方は、被写体に寄りやすい35mmなどのレンズがおすすめです。

ポートレートで使いやすい

男性のポートレート

ポートレート撮影でも使ってみました。

絞り開放だとピントを瞳に合わせるのが激ムズなので、バストアップで撮るならf/2.0~2.8あたりが使いやすい。

フレアの具合も個人的には気に入っています。

男性のポートレート
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子供の撮影は高難易度

ピンボケのサンプル

想像はしていたものの、遊んでいる子供の撮影はやはり難しいです。

基本的にじっとしていないので、すぐにピントがずれてしまう。

少し絞って撮影したサンプル

しばらくピンボケ写真を量産しそうですが、子供たちの撮影でマニュアルフォーカスを鍛えます。

写真が楽しくなる極上単焦点レンズ

Voigtlander NOKTON 50mm F1.2 Aspherical

指一本で瞳にジャスピン決められる今の時代、わざわざマニュアルフォーカスを選ぶなんてどうかしていると思うでしょうか。

フォーカスリングを回してピントを合わせる作業は時間がかかりますし、面倒くさい。

でも、写真を撮る楽しさを実感できます。

動画にもまとめたので、こちらもあわせてご覧ください。

α7 IIIのピント拡大機能や手振れ補正にも頼りつつ、少しずつマニュアルフォーカスを上達させていきたいですね。

今後しばらくはこのレンズを使い倒します。

1年も使い込めば、飛び回るトンボにも瞬時にピントを合わせられることでしょう。(さすがにそれは無理か)

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