約10年、リップクリーム代わりにお世話になっているワセリン。
特に冬場はお風呂上がりにワセリンを唇にたっぷり塗らないと、唇がパキパキに乾燥、やがて血まみれになってしまう私。今回は唇ではなく、レンズの保護フィルターにワセリンを塗ってみました。
レンズのフィルターにワセリンを塗るというのは、古くからある定番の手法だそうでして。カメラ雑誌でもたまに特集されているのを見かけます。
私も以前から知ってはいたのですが、実際に試すのは今回が初めて。31歳になって、ようやくワセリン童貞からの卒業です。
ワセリンを保護フィルターに塗るコツ
保護フィルターの周辺部分にワセリンを塗りたくります。全面に塗るのではなく、周辺部分に塗るのがいいみたい。
今回は光がランダムに屈折するように、わざと汚く指紋が残るように塗ってみました。どういう塗り方が正解なのかは私も知りません。
このフィルター、以前AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gを買ったときにオマケでついてきたもの。年末に防湿庫の中を整理していたらひょっこり出てきまして。どうせ使わないのだからワセリンでも塗って有効活用してみようかと。
AF-S NIKKOR 58mm f/1.4Gはレンズの性能を最大限に発揮させたくて、保護フィルターをつけていないのです。
ワセリンフィルターで撮影した作例
実際にワセリンフィルターを使って撮影した作例をいくつか掲載してみます。
光の当たり方ひとつで描写がガラリと変わるので、撮影してすごく楽しいですよ。
逆光で撮影すると光がにじむ
娘と散歩へ行ったついでに、ワセリンフィルターの効果を試してみました。逆光で撮影すると、光がじんわりとにじみます。
フレアやゴーストとはちょっと違う、ほんのりと品があるにじみ方とでもいいましょうか。
周辺部分にしかワセリンを塗っていないので、写真中央の娘周辺にはにじみは見られません。これは面白い描写です。
こちらのカットは光源を避けて撮影してみたのですが、太陽光が当たっている黄色いブランコの支柱がじんわりとにじんでいます。
写真下側、光が当たっている雑草部分もちょっぴりにじんでいますね。
撮影時は光源の位置に注意が必要
これは写真右上だけが強くにじんでしまった没カット。もう少し大きく派手ににじんでくれれば面白かったんですが、なんだか中途半端。
光源と被写体、カメラの位置を微調整しないと、なかなか思い通りのにじみを出せません。
ワセリンの塗り方を色々変えてみると、またにじみ方が変わるんだと思います。ワセリン自体も、白色ワセリンとかベビーワセリンなど、いくつかの種類が販売されているので、それぞれで描写が変わるのかも。
こちらのカットは川の反射もいい感じににじんでくれました。
ワセリンフィルター、意外と奥が深くて面白いです。
光源がないとつまらない
光源がまったくない状態でも撮影してみたのですが、ごく普通の写真になってしまいました。
ぐるぐるボケっぽい描写は周辺に見られますが、なんともイマイチ。ワセリンフィルターの効果を最大限に発揮するためには、光源を探すことが大切みたい。
オートで撮るときは露出補正+1
個人的に子供の写真はふんわり明るいのが好み。逆光で撮るときはとくに、明るめに撮るようにしましょう。
ニコンならPモードやAモード(キヤノンやソニーは知りません)など、オートモードで撮るときは【露出補正を+1】に設定。
強い光源があるとカメラは暗く撮ろうとしてしまうので、「ちょっと明るすぎるかも……」くらいが丁度いいです。
マニュアルで露出を設定できるなら、こんな記事を読む必要はないでしょう。
室内撮影でも独特な描写に
家の中で遊ぶ娘を撮影したときにも、ワセリンフィルターを使ってみました。
強い光源はないので屋外撮影とはまた違った雰囲気になりますね。
写真の周辺部分がほんわりと白っぽくなっています。周辺減光とはまた違った味わいがあって、これもまた面白いです。
にじみのコントロールは難しい
ワセリンフィルターを使いはじめてから、自宅で撮る子供の写真もぐんと楽しくなりました。
おもちゃが散らかっている寝室も、洗濯物が干したままのベランダも、ボカしてにじませてしまえばそれっぽい。
ただ、光のにじみをコントロールするのは難しいですね。
こちらの写真、次女のほっぺたの柔らかさはうまく表現できたかなと思っていますが、写真左上のにじみ方がちょっと不満。
「なんか塗ってる感」がモロに出てしまっています。
撮るたびに出てくる画が異なるのは、書道に通ずる面白さがあるように感じます。
レンズの絞りは開放気味で
「なんでもかんでも絞り開放で撮ることが楽しい」と思っていた時代が私にもありました。
私も少しは成長しまして、絞り開放が絶対的な正解でないことは何となく理解しています。
でもワセリンフィルターの実力を引き出すなら、なるべく絞りは開いた状態で撮ることをおすすめします。
絞り開放で撮るとピントを合わせるのが難しい?
誰に怒られるわけでもないんですから、多少ピントが合わなくたっていいんですよ。
子供の写真はね、自分が満足できて子供や家族が喜んでくれればそれで正解なんです。
ピントなんて二の次ですから。
子供の写真撮影は工夫するほど楽しい
今回のようにちょっと工夫するだけで、新しいレンズを買ったときのような楽しさを思い出せた気がします。
各種フィルターの活用方法はあらゆるカメラ雑誌で語り尽くされてる感がありますが、まだ試したことのないテクニックもたくさん。
次女がもう少し大きくなれば、がっつりライティング機材を組んで、子供たちの写真を撮ってみても楽しそう。
最近の長女(3歳)はカメラを向けると変顔ばかりキメてくるので、いかにカワイイ表情とポーズを引き出すかが目下の研究対象。
日々撮り続ける子供たちの写真、いろいろと工夫しながら撮る楽しさも追求していきます。