出会いがあれば別れもあるわ。それはどう足掻いたって避けられない現実。あのときこうしていればだなんて、今だからこそ言えることよ。あのときの自分にとって、その判断は間違っていなかったの。変わってしまったのは私。
必要だった。必要だと思ってた。でもほんとのことを言うと少し妥協してた。ずっと隠そうとしてたけど、もう自分に嘘をつくのはやめようって。自分にまっすぐ生きようって思ったの。あのときの小さな妥協が、今になって大きなひずみになってしまったのね。
私たち、さよならだわ。
好きなタイプ?そうね、やっぱり明るさは大事よね
あなたと出会ってちょうど1年が経とうとしているわ。一緒に新幹線に乗って、何度も大阪に行ったわね。あなたは便利だった。そうよ、高倍率ズームはとても便利だったの。だけどね、結局は仕事上でのつきあいだけだったのよ。
本気で写真を撮りに行くとき、私があなたを連れて行くことはなかった。あなたを置いて、他のレンズと出かけていたのよ。どうしてかわかる?あなたはその小さな体ながら10倍ズームでとても便利だけど、暗いのよ。いつもそう、あなた暗いのよ。
私が本当に必要としていたのは、倍率の高さより明るさだった。あなたと出会って、私はそこに気づくことができた。あなたには感謝してる。だけど私たち、さよならだわ。
フジヤでもキタムラでも誰でもいいのよ
いつまでもずるずる引きずるのはお互いによくないと思ってるの。あなたを必要としている人はきっとどこかにいるわ。次のお出かけが私たちにとって最後のデートよ。行先はそうね、キタムラでもマップでもフジヤでもどこでもいいわ。
あなたを引き取ってもらった資金で、私は次のレンズを買うの。もしかしたら買うのはレンズじゃないかもしれないわ。私、もうすぐ30歳なのよ、余裕なんてどこにもないの。だからこそ次は失敗したくない。絶対に失敗したくないのよ。
上野の動物園も冬のイルミネーションも、あなたとの思い出はきっと忘れない。あなたと出会えて、私は少し大人になれた気がする。短い付き合いだったけれど、今まで楽しかったわ。ありがとう。そして、さよなら。